優秀な人材が支える会社の成長
- 田中:
やはり良い人材は良い会社で働きたいというのがあると思うんですけど、藤田さんの人材の採用についての考え方を聞かせてください。
- 藤田:
採用に対するお金や手間暇のかけ方は普通の会社と比べ物にならないくらい、当社にとって投資をするポイントですし、入社してからも優秀な人がモチベーションを維持できるような仕掛けというのもたくさん用意していますよ。
- 田中:
そういった仕組み作りを専属に担当する人が社内にいるんですか?
- 藤田:
当然、人事部が取りまとめて担当しています。ただ採用に関しては僕が各事業部から指名した社員で構成される採用グループが、全社横断的にやってますね。
- 田中:
採用が重要なのは当たり前のことですが、改めて問い直すとそれはなぜだと思いますか?
- 藤田:
当社は基本的にM&Aをやらないので、自分たちでサービスを作って会社を伸ばしていくしかないわけです。だからこの急成長を支えているのは社員ががんばっているからですよ。
それは偶然ではなくて、採用をがんばり、良い人材を採用し、社員ががんばるようなカルチャーを作ってきたことが急成長を促したんです。これは天丼屋のチェーン店だろうと、ネット広告であろうと、何の事業をやっていても基本は同じです。
仮にインターネットがなくなったとしても同じ方法で会社を育てていくので、たとえば飲食業やアパレル業界でも、当社は別の事業でも必ず成功しますよ。
当社の社員は非常にモチベーションが高く、成長意欲が高いです。人材が会社の原動力であり、強みですね。
- 田中:
なるほど。今、サイバーエージェントの社員の平均年齢はどれくらいなんですか?
- 藤田:
28才です。
- 田中:
もっと引き上げたいとか、下げたいといった希望はあるんですか?
- 藤田:
多少は上げていきたいところですけど、新卒の社員が毎年入るので結果的にはあまり変わらないんですよね。
- 田中:
CEOとしてどういう人を採用したいというメッセージはありますか?
- 藤田:
いつも言い続けていることですが「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンに共感してチームの一員になろうという人を採用したいですね。
- 田中:
ちなみにこのインタビューは転職したい人がいっぱい見ていますよ(笑)
- 藤田:
あ、いいですね、GREEを使っている人は優秀な人が多そう。技術者を募集しています(笑)。
「21世紀を代表する会社」を創る上で欠かせない条件にあげているのが「グローバルで成功する」ということなんです。現状、当社が強みとしているマーケティングやコミュニケーションは日本語圏内にとどまってしまうので、「サービスや技術で世界に通用するものを作らないといけない」と強く感じています。
たとえばWindowsのように言語さえローカライズしたら、誰でも同じように使えるというものを作らないといけないですよね。そのためには技術力をもっと高めないといけないんです。あまり知られていませんが、今でも当社には優秀な技術者が多いのですが。
すでに起こっている変化と今後起こすべき変化
- 田中:
そういう意味で「Google」や「楽天」のようなサービスを見て、「これは通用しそうだな」とか思ったりすることはあるんですか?
- 藤田:
ソーシャルネットワーキングサービスもそうですし、「YouTube」やドロップシッピングなど、日本では起業家も投資家も米国で流行った物を日本に取り入れる、という癖がついていると思うんですよね。そういう環境をどこかで打破したいですね。真似は一通り終わったというか……。
インターネットビジネスの進化は日米ほぼ同時進行なので、日本で流行して世界的に注目されたりとか、世界に先んじて参入できる日本発のサービスというのが本当はもっと生まれて良いと思うんです。
- 田中:
僕はインターネットが始まった頃の人たちと、インターネットが当たり前になってからビジネスに参入してきている人とでは違いがあるように感じているんです。
最近の若い起業家を見ていると「インターネットでこのサービスを使っているから、これをビジネスにしたい」という方向に流れが変わっているように思うんですよ。
- 藤田:
たしかに状況は変わってきていますよね。ブロードバンドが普及し、Web 2.0という言葉が浸透し、ソーシャルネットワーキングサービスやブログで個人が情報発信をし、携帯電話も当たり前に使いこなす。
そういう環境でどのような変化が起きているかというのは当然見なければいけないけど、起業家が出て来る経路というのは昔も今もバラバラですよね。モチベーションもそれぞれ違うし、タイプも違う。
でも変わったと言えば、一回り上の世代と比べると、みんな肩の力が抜けていますよね。社長然として威張ろうと思っても、ネットで「あそこのお店で飲んでいた」と書き込まれてすぐ地がバレてしまうという環境にさらされているので(笑)。だから「大上段に構えよう」とか、「カリスマ性がなければ」という感じはないですよね。
- 田中:
会社や事業を成功させる上では「運の良さ」というのは重要なんですかね?
- 藤田:
僕の場合、運が良いか悪いかと言えば、たぶん良いんだろうけど(笑)。でも自分で運が良いと思ったことはないですよ。基本的には自分の中で判断して行動しているわけですから、事業が当たったのを運だと思ってしまうと駄目ですよ。
でも経営者の方や芸能界で成功した人は運命とか占いとかを信用していることが本当に多いですよ。嘘のような話ですけど「東京に大地震が来る」なんて噂を完全に信用して、本気で不動産を売り払って避難しちゃった人がいるんですよね(笑)。
それだけ経営者はメンタル的にストレスがかかる仕事なので、運の良し悪しにすがってつい占いとか予言とかを信じてしまったりするのかもしれませんね。
- 田中:
藤田さんの場合はロールモデルも教科書もないから、そもそも自分が信じたもの以外はすがるものがなかったわけですね。それは大変なことですよね。
- 藤田:
自分の力じゃないくらい大きく成功したりすると、運とか方角とか占いにすがりたくなってくるんでしょうね。だけど僕も三木谷さんがおっしゃっている「経営は心のアスリート」というのに賛成で、精神力が強い者が最後は勝つんだと思います。
だって占いに頼っていたら社員も不安になってくるじゃないですか。「占いの先生が言ったから、今年は新規事業はやりません」なんて言ったら大変ですよ(笑)。
志の高い同志は成長を促す刺激
- 田中:
藤田さんから見て輝いている人というのはどういう人ですか?
- 藤田:
仕事をムキになってがんばっている人。かっこいいですよね。
- 田中:
それは社内で見かける人ですか?
- 藤田:
もちろん社内でも見かけるし、社外でも見かけますよ。
- 田中:
なぜ仕事をがんばる人って輝いて見えるんですかね?
- 藤田:
そういう人を見て斜に構えたり、批判する人もいるわけじゃないですか。僕に「お金もあるし、会社もそれなりなのに、なんでそんなにがんばるんだ?」って言われても困るけど(笑)、でも「21世紀を代表する会社を創る」という目標があって、それに向かってやっているわけですよ。
そういう大きな目標じゃなく身近な目標でも、それに向かって純粋にがんばっているというのは輝いて見えますよね。
- 田中:
藤田さんは渋谷にネットベンチャーが集積してビットバレーと呼ばれていた時代の象徴的な存在じゃないですか。藤田さんが駆け出しの時代に知り合った同じような駆け出しの会社の社長は、今ではどのようになっておられるんですか?
- 藤田:
不思議なことに、僕らの周りにいた人達って同じように成長して生き残っているんですよ。偶然そういう人達が集まっていたのかもしれないけど、やはり刺激し合っていたと思うんですよね。
志が低い人同士で集まればお互いに「こんなもんだよね」ってなってしまいますし、一人でも「何をがんばっちゃってるの?」と言う人がいれば、みんなそれに引っ張られてしまうし……。
- 田中:
たしかにどれだけ志の高い仲間に恵まれているかがその後の成長のポテンシャルを決めてしまうのかもしれませんね。
ところで最後に、今は独身になられた藤田さんの女性の好みについて聞かせて下さい。GREEには何十万人も若い女性が登録していますので是非一言お願いします(笑)。
- 藤田:
女性の好みですか? 正直よく分からないですね(笑)。若いうちは女性の好みって毎年変わるじゃないですか。それが年齢を経てだんだん自分の中で「やっぱりこういうものだな」と分かってくるものだと思うんですけど、それが33才の今になってもイマイチまだ良くわからないのが本音です(笑)。
編集:島田敏宏(GREEキャリア編集部)
2006/07/19 14:00
連載インタビューバックナンバー
![]() |
第16回 KDDI株式会社 コンテンツ・メディア事業本部長執行役員 高橋誠氏(後編)後編ではKDD・DDI合併時の危機的状況から成功に至る経緯とともに、コンテンツ配信ビジネスの舞台裏やどんな人材を求めているのかまでを高橋氏に語ってもらった。 |
![]() |
第15回 株式会社GDH 代表取締役社長 石川 真一郎氏学者志望からコンサル、そして日本のアニメ業界に入っていく石川氏。起業やゴンゾとの合併、職場選びのツボなど、含蓄の豊かな話が聞けた。 |
![]() |
第14回 フォートラベル株式会社 代表取締役社長 津田全泰氏ストックオプションにより一定の資産を築いた津田氏が、フォートラベルを続けた理由には熱い思いがあった。後編では津田氏の起業についての経緯をお送りする。 |


